香坂王と忍熊王の反逆から応神天皇の即位まで

建内宿禰と御子の品陀和気命(建内宿禰と御子の品陀和気命:ウィキメディアより)

異母兄の香坂王と忍熊王、反逆す。

出産を終えた神功皇后(ジングウコウゴウ)は、筑紫国(つくしのくに:九州)から大和国(奈良県)に帰る時、御子の異母兄の兄たちが軍を差し向ける気配を感じました。そこで、御子を喪船に乗せると、
「御子はすでに亡くなりました」
と、嘘の噂を広めさせました。

それが嘘だとわかっている香坂王(カグサカノミコ)と忍熊王(オシクマノミコ)は、斗賀野(とがの:大阪市あるいは神戸市)で殺害する計画を立て、誓約狩(うけいがり:占いの一種)をしました。誓約狩とは、狩りをして神意をうかがい吉凶を占うことです。
香坂王がクヌギの木に登って遠くを見ていたところ、大きな猪が木の根を掘り、木を倒して香坂王を食い殺しました。

このことが凶であることは明らかです。

しかし、忍熊王は喪船をやり過ごし、その後ろに続く兵が乗っているはずの船を襲いました。この兵船は罠で、誰も乗っていません。
喪船からの兵が忍熊王たちを襲った時、忍熊王の兵を率いていた将軍が伊佐比宿禰(イサヒノスクネ)、一方御子の兵を率いていた将軍が建振熊命(タケフルクマノミコト)です。御子の兵が山代(京都府南部)まで忍熊王の兵を追いかけて、両軍は戦いを始めました。

建振熊命のだまし打ち

この戦いで、建振熊命は一計を案じました。

「神功皇后は、すでに亡くなった。戦うのはやめよう」
そう言うと弓の弦を切り、降伏を申し出ました。伊佐比宿禰はそれを信じ、兵を収めました。

すると、建振熊命は髪の毛に隠していた弓の弦を取り出し弓に張ると、急襲したのです。忍熊王の兵は逢坂(京都府と滋賀県の境)まで逃げて、そこで戦いました。建振熊命はさらに沙々那美(ささなみ:琵琶湖西岸)まで追い詰めてから敵を破りました。

かろうじて船に乗って琵琶湖の湖上に逃げた忍熊王は、伊佐比宿禰に歌を詠みました。

いざ吾君(あぎ) 振熊が 痛手負はずは 鳰鳥(にほどり)の 淡海(あみふ)の海に 潜(かず)きせなわ
(さあ、建振熊命にやられる前に、カイツブリのように近江の海にも潜りましょう)

こうして、二人は琵琶湖に身を投げて死んだのです。

気比神宮(気比神宮:ウィキメディアより)

気比大神(ケヒノオオカミ)との名前の交換。

こうして、御子の品陀和気命(ホムダワケノミコト)を連れた伊佐比宿禰は最初に御子が死んだことにした禊をしました。そして、角鹿(つぬが:福井県敦賀市)に仮宮を建てて滞在していました。

その時、御子の夢にその地に住む伊奢沙和気大神之命(イザサワケノオオカミノミコト)が、御子の夢に現れました。
「私の名を御子の御名と変えたい」
「かしこまりました。仰せの通りにいたしましょう」
「明日の朝、浜に行きなさい。名を変えたことへの贈り物をしよう」

次の朝、御子たちが浜に行くと、鼻に傷がついた入鹿魚(イルカ)がたくさん打ち上げられていました。昔のイルカ漁は、モリで鼻をついて捕えるのです。

「私に御食(みけ:神の食事)の魚を与えてくださいました」
御子は神にお礼を申し上げました。
また、その神を御食津大神(ミケツオオカミ)と名付けました。今の気比大神(ケヒノオオカミ)で、気比神宮のご祭神です。

こうして、大神により御子は天皇になるべく太子たる資格を得たことになります。
また、その浜は、イルカの血が臭かったので血浦となり、都奴賀(つぬが:現在の敦賀)となりました。

第15代応神天皇
(第15代応神天皇:ウィキメディアより)

神功皇后と酒楽(さかくら)の歌

御子が大和に戻られた時、母の神功皇后(ジングウコウゴウ)は、待酒を用意し、歌を詠まれました。

この御酒は 我が御酒ならず 酒(くし)の司(かみ) 常世に坐(いま)す 石立(いはた)たす 少名御神(すくなみかみ)の 神寿(かむほ)き 寿き狂ほし 豊寿(とよほ)き 寿き廻(もと)ほし 献(まつ)り来し御酒ぞ 止(あ)さず飲(を)せ ささ
(この酒は、私が醸した酒ではありません。少名毘古那神(すくなびこなのかみ)が醸した酒で、祝い酒だから、さあ、飲みなさい)

建内宿禰(たけうちのすくね)が、御子の代わりに詠みました。

この御酒を 醸(か)みけむ人は その鼓 臼に立てて 歌ひつつ 醸みけれかも 舞ひつつ 醸みけれかも この御酒の 御酒の あやに うた楽し ささ
(この御酒を醸した人は、歌いながら醸したからか、踊りながら醸したからか、何とも楽しい。さあ)

こうして、神が造られた酒で宴を開くことで、御子の品陀和気命が天皇の承認を受けたことになりました。第15代応神天皇です。

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